アメリカのスーパーで安全な肉・卵・野菜を選ぶ方法|食品ラベルの見分け方

アメリカのスーパーで安全な肉・卵・野菜を選ぶ方法|食品ラベルの見分け方

アメリカ駐在が始まってスーパーに行ってみたものの「何を買おう?」「安全なものはどれ?」と戸惑ってしまうこと、ありませんか?
見慣れない英単語のオンパレード、見たこともない野菜や果物、何か一つ買うにも種類が多くて、どんな基準で選んだら良いか迷ってしまいますよね。

日本から来たばかりだと「アメリカの食材は薬品漬けで怖い」という先入観もあるかもしれません。でも、ちょっとした予備知識さえあれば、大丈夫!
今回は、アメリカのスーパーでよく見かけるラベルの中でも、特に日本人家庭で買うことの多い、野菜や果物、肉や卵に関する用語についてご紹介します。

表示は「①第三者認証がある表示」「②第三者認証のない表示(生産者による自主的な表示)」「③安全性ではなく品質のグレード表示」の3つに分けて紹介します。
本当に安心して選びたい場合は①を優先し、②は複数の表示を組み合わせて判断すると良いでしょう。
③は味や見た目の格付けなので、安全性の判断とは切り離して考えてください。

アメリカ スーパー野菜コーナーの食品ラベル
アメリカ スーパー野菜コーナーの食品ラベル
表示対象グループ意味(一言)
USDA Organic野菜・果物/肉・卵①認定機関の審査基準をクリア(無農薬栽培/飼料オーガニック等)
Certified Humane肉・卵①人道的な飼育をNPO団体が認定
Conventional野菜・果物②非オーガニックの意味。安全性の表示ではない
Local野菜・果物②地元産という意味。安全性の表示ではない
Naturally Grown肉・卵②基準が曖昧。Conventionalより安全とは限らない
ホルモン剤不使用・抗生物質不使用肉・卵②鶏豚のホルモン不使用は自動的に真。抗生物質は要証拠
Grass-fed肉・卵②牧草飼育。2016年にUSDA公式基準が廃止され自己申告制に
Pasture-raised肉・卵②放し飼い・牧草地で飼育。より自然な環境
Cage Free肉・卵②ケージなしだが実態はケージ飼いに近いことも
Free-Range肉・卵②USDA基準は「屋外アクセス」のみで広さ・時間の規定なし
U.S. Choice肉③安全性でなく肉の格付け(霜降り等)
Angus Beef肉③牛の品種表示。オーガニックとは無関係の別制度
Grade A/AA卵③卵の見た目の格付け。大差なし

ここからは上記の表のラベルについて1つずつ解説します。

①第三者認証がある表示(最も信頼度が高い)

第三者機関の審査を経て認定される表示です。今回紹介する表示の中では最も信頼度が高いグループです。

USDAとは?

USDA(United States Department of Agriculture、米国農務省)は、食品の安全・栄養表示や、農産物・畜産物の基準づくりを担うアメリカの政府機関です。ここで紹介する「USDA Organic」をはじめ、後述する「U.S. Choice」などの品質グレードも、このUSDAが定めています。

出典:USDA公式サイト/AMS(農業マーケティングサービス局)

USDA Organic(オーガニック)

野菜・果物にも肉・卵にも共通する認証制度で、いずれもUSDA(米国農務省)が認める認定機関の審査基準を満たす必要があります。対象によって基準の中身は少し異なります。

<野菜・果物の場合>

通常より割高ですが、特に野菜や果物は、残留農薬の心配や健康への影響、栄養面、環境への配慮などを考えて、オーガニックを選ぶ人が増えています。無農薬で3年以上栽培された土壌から収穫され、遺伝子組み換えなし(NON-GMO)で、土や水も厳格な基準をクリアしていること。薬品を使う農家とは定められた距離を置くこと、などが条件として定められています。

Organic野菜のコーナー
Organic野菜のコーナー

<肉・卵の場合>

オーガニック飼料を食べて育てられた家畜か、野外の飼育場へのアクセスがあるか、成長ホルモンや抗生物質が使われていないかどうか、などの基準をクリアしたものが、認定されています。

USDA Organic、Certified Humane等が表示された卵パッケージ
USDA Organic、Certified Humane等が表示された卵パッケージ

Certified Humane(肉・卵)

人道的、倫理的に飼育された家畜かどうかNPO団体(Humane Farm Animal Care (HFAC))が認定している基準マーク。
Pasture-raised の卵に、この認定があれば、鳥は、広々とした牧草地で自然界の草や昆虫を食べ、自由に歩き回って飼育されています。

出典:Certified Humane公式サイト

②第三者認証のない表示(生産者による自主的な表示)

ここで紹介する表示は、①のような公的な第三者認証を伴わない、生産者による自主的な表示です。産地や栽培方法を伝えるだけのものもあれば、安全性に関わる目安になるものもあるため、意味を理解した上で参考にしましょう。

Conventional(従来品)

「従来の、ありきたりの」という語源から転じて、野菜や果物売り場で使われるとOrganic と対比して「非オーガニック」という意味でも使われます。

Local(地元産)

地産地消のカルチャーが根付く都市では、地元産の食材を意識して買う人が多くいます。地元の農家を支えるだけでなく、輸送費も時間もかからない安くて新鮮な食材を求める消費者が増えています。

Naturally Grown

オーガニックほど明確な基準がないため曖昧です。Conventional(従来品)より安全かどうかは定かではありません。

Naturalと表示された豚肉パッケージ
Naturalと表示された豚肉パッケージ

No hormones added(ホルモン剤不使用)

パッケージに”no hormones added”(成長ホルモン不使用)と書かれている場合、ホルモンについては、鶏肉・豚肉はアメリカで成長ホルモンの投与自体がそもそも連邦法で禁止されているため、鶏肉・豚肉に”no hormones added”と表示する場合は”Federal regulations prohibit the use of hormones”(連邦規則によりホルモンの使用が禁止されている)という注記を必ず併記する決まりになっています。

「連邦規則によりホルモン不使用(no hormones added)」と表示された豚肉パッケージ
「連邦規則によりホルモン不使用(no hormones added)」と表示された豚肉パッケージ

つまり鶏肉・豚肉の「ホルモン不使用」は、他社との差別化というより、法律上当然の内容を強調しているだけとも言えます。一方、牛肉には成長ホルモンの使用が認められているため、牛肉で”no added hormones”を探す場合の方が、より意味のある表示です。

USDA Choice、Premium Angus Beef等の表示がある牛肉売り場
USDA Choice、Premium Angus Beef等の表示がある牛肉売り場

No antibiotics(抗生物質不使用)

抗生物質については、ホルモンとは違い、鶏肉・豚肉・牛肉のいずれでも飼育中に使用される場合があります。
そのため”no antibiotics”や”raised without antibiotics”という表示は、生産者がUSDA(FSIS)に十分な証拠書類を提出し、実際に使用していないことを示せた場合にのみ認められる表示です。
ホルモンの表示と違って肉の種類を問わず意味のある表示なので、抗生物質不使用にこだわりたい場合はこちらの表示を確認しましょう。

出典:USDA FSIS「Meat and Poultry Labeling Terms」

no antibiotics(抗生物質不使用)と表示されたハムのパッケージ
no antibiotics(抗生物質不使用)と表示されたハムのパッケージ

Grass-fed

牧草を食べて育った、という意味ですが、単に牧草の粉だけ与えられて飼育小屋で飼われていた可能性があります。

100% Grass-Fedと表示された牛ひき肉パッケージ
100% Grass-Fedと表示された牛ひき肉パッケージ

※Grass-fedは以前USDAの公式な任意マーケティング基準がありましたが、2016年にUSDAがこの基準を廃止したため、現在は第三者認証を伴わない生産者の自己申告表示になっています。

出典:USDA公式ブログ「Understanding AMS’ Withdrawal of Two Voluntary Marketing Claim Standards」

Pasture-raised(パスチャーレイズド)とは?

放し飼い、牧草地で飼育された、という意味で自ずと牧草を食べています。より恵まれた自然環境の中で育てられた家畜です。

Pasture Raised・Certified Humane・Grade Aと表示された卵パッケージ
Pasture Raised・Certified Humane・Grade Aと表示された卵パッケージ

見分け方の注意:「Pasture Raised」と「Pasteurized Eggs」は別物

卵売り場でPasture Raisedの隣に並んでいることがある“Pasteurized Eggs”(低温殺菌卵)は、飼育方法ではなく、殻ごと低温で殺菌処理をすることでサルモネラ菌のリスクを抑え、生で食べても安全とされている卵です。
Pasture Raisedは牧草地で育てられたことを示す飼育方法の表示(このグループ)なので、殺菌処理が施されているとは限りません。
卵かけご飯やティラミスなど卵を生で使う料理を作りたい場合は、Pasture Raisedではなく”Pasteurized Eggs”と書かれた商品を選ぶようにしましょう。

出典:USDA FSIS「Shell Eggs from Farm to Table」

Cage Free

アメリカも日本同様、多くの鳥はケージ飼いがほとんどです。
オーガニックでない場合は、「Free」と言いながら実態は、ケージ飼いとほとんど変わらない飼育条件で、抗生物質、消毒剤、殺菌剤、屋内の光もほぼなく、遺伝子組み換えコーンと大豆などの飼料を与えられています。

Cage Freeと表示された卵パッケージ
Cage Freeと表示された卵パッケージ

Free-Range(フリーレンジ)

Cage Freeよりもさらに一歩進んだ表示で、屋外へ出るアクセスがあることを示します。
ただしUSDAの定義は「屋外へのアクセスがあること」という以上の具体的な基準(広さ・時間)を定めていません。
参考までに、第三者認証であるCertified Humaneが独自に定める「Free Range」基準では、天候が許す限り1日最低6時間の屋外飼育、1羽あたり2平方フィート以上の屋外スペースが必要とされています。
USDAの表示だけを見るのではなく、Certified Humaneのような第三者認証と合わせて確認すると、より実態に近い判断ができます。

出典:USDA FSIS「Meat and Poultry Labeling Terms」、Certified Humane基準

③安全性ではなく品質・見た目のグレード表示

ここからは「安全かどうか」ではなく、味や見た目の格付けを示す表示です。安全性の判断とは切り離して考えましょう。

U.S. Choice

USDA(米国農務省)が定める肉のグレード。肉の成熟や霜降り度合いに応じて、等級が決まります。U.S. Choiceは、最高級で希少価値のU.S. Primeより下のランクになりますが、スーパーやレストランで一番出回っており、程よく霜降りで柔らかく、グリル、ロースト、焼く、煮込む、どんな調理法にも合います。

USDA Choiceと表示された肉パッケージ
USDA Choiceと表示された肉パッケージ

Angus Beef

アメリカでは比較的多く飼育されている牛で、Wagyu, Kobe などのように品種を表します。
スーパーで売られているものは従来品より若干割高で、バーガーやステーキのメニューにもよく見かけますが、実際には交配種も多く、半分以上Angusが含まれていればAngus Beefと呼ばれます。”Certified Angus Beef”かどうか確認してください。

※Angus Beef(品種)、Certified Angus Beef(USDAグレードに紐づく品質ブランド認証)、USDA Organic(栽培・飼育方法の認証)は、それぞれ無関係の別の制度です。Angus Beefだからオーガニックというわけではなく、オーガニックだからAngus種というわけでもありません。

USDA Choice、Premium Angus Beef等の表示があるスーパーの精肉売り場サイン
USDA Choice、Premium Angus Beef等の表示があるスーパーの精肉売り場サイン

Grade A/AA(卵)

必ずとも言っていいほど卵のパッケージに記載されていますが、白身が厚いか、黄身が高いか、殻が汚れていないかという違いのみで、AAとAに大差はありません。あまり気にする必要はないでしょう。スーパーで売られているものは通常AかAAで、Bは加工用に使われます。

野菜・果物のオーガニック選びの目安(民間団体のガイドライン)

全ての食材をオーガニックで揃えるのは大変ですよね。アメリカの環境保護団体EWG(Environmental Working Group)が公表している残留農薬の目安リストも参考になります。
※これはUSDAなど政府機関の認証ではなく、民間団体独自の調査に基づくランキングで、栄養学の専門家の間でも評価が分かれる指標です。あくまで目安としてご活用ください。

ベリー系はオーガニック、アボカドは非オーガニックでもOKと迷わず買い物出来るようになりますよ。

Dirty 12(残留農薬が多い野菜・果物 ワースト12)
https://www.ewg.org/foodnews/dirty-dozen.php

Clean 15(残留農薬が少ない野菜・果物 ベスト15)
https://www.ewg.org/foodnews/clean-fifteen.php

アメリカの食品ラベル:まとめ

アメリカの家畜の多くは穀物飼料で育てられていますが、オーガニックでない家畜は、成長ホルモンや遺伝子組み換え飼料を与えられている可能性があり、ちょっと怖いので、筆者はできるだけ肉や卵はオーガニックを選ぶようにしています。

野菜・果物も肉・卵も、まずは①のような第三者認証がある表示を優先しつつ、難しければ②の表示を複数組み合わせて判断すると安心です。③は安全性ではなく味や見た目の目安として参考にしましょう。

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