アメリカ赴任が決まり、就学年齢のお子さんを連れて現地校に転入することになると、日本と違う年度の始まり、学年の問題をどうしたら良いのか、どんな手続きが必要なのか、疑問がわいてきますね。
今回は、筆者の住むカリフォルニア州サンフランシスコ郊外を例にあげて、アメリカの公立小学校・現地校の転入手続きについてご紹介していきます。
1.学校のオフィスのWebサイトを確認する
2.必要書類を準備する
3.学年・英語の問題をどうする?
4.希望校に入れなかったらどうする?
*以下、9月の新学期が始まる前、6月から8月に転入手続きをするケースを想定していますが、年度の途中で転入する場合、基本的な流れは変わりません。
1.学校オフィスのWebサイトを確認する
住所が決まったら、まず、ご自宅から一番近い学校(通わせたい学校)がどこの “School District Office”(スクール・ディストリクト・オフィス)に属しているかを確認します。
学校のホームページからたいてい検索できますし、わからなければ、検索エンジンで学校名と“School District office” などとキーワードを入れると探すことが出来ます。
公立学校では入学や転入に関する諸手続きなどは、近隣のいくつかの学校を管轄するオフィスがまとめて行うのが普通です。日本のお役所のようなところですね。
オフィスがエリア内の学校の生徒数を調整したり、年間のカレンダー、就業時間などの規定を定めています。
転入に関する情報は、ホーム画面から”Enrollment “(入学)をクリックします。
必要書類、手続き、タイムラインについてなど転入学に関する情報は全てここに網羅されていますので、まずはざっと一読しましょう。
特にタイムラインは必ず目を通して(多くの場合、第1募集期間は終了していますので)第2、第3、第4受付のそれぞれの受付締め切り日がいつかを確認します。
2. 必要書類を準備する
以下に学校の転入手続きに必要な書類の一例をご案内します。
州やお住いの地域によって多少異なる可能性がありますので、必ず事前にディストリクト・オフィスのウェブサイトからご確認下さい。
(1) Original document of Parent or Guardian/Caregiver identification
(親の身分証明書)
パスポートで問題ありません。
(2) Original document of Student Identification
(子供の身分証明書)
パスポートで問題ありません。
(3) Proof of Residency
(住所証明書の原本)
水道・ガスなどの公共料金の請求書と賃貸契約書など、住所を証明できる書類を2種類、原本で用意します。
筆者の住むエリアでは、(1)から(3)は全て原本が必要でコピーは不可となります。
稀に公共料金の宛名がスペルミスなどで、正しく記載されていないと証明書類として受理してもらえず、再度アポイントを取って出直すことになってしまいますので注意が必要です!(アメリカではよくこんなことが起こります・・・)
実際に、筆者は(2度も!)公共料金の宛名のスペルミスがあり、訂正に数週間時間をロスしたことがあり、単純な書類ではありますが早めに準備を始めましょう。
(4) Enrollment Form
(入学願書)
メールアドレスなどを入力し、アカウントを作成するとオンラインで必要事項が記入できるようになります。
知らない英単語の意味を確認しながら多くの項目に記入していく作業は、慣れないと少し時間がかかるでしょう。
移民の多いカリフォルアでは、家庭内の使用言語が英語でない場合は追加フォームにも記入します。
記入が済んだら、印刷して、署名したものを手元に用意しておきます。
(5) Immunization Record
(予防接種証明書)
ほとんどの場合、日本で受けているものだけでは足りないので、現地で追加の予防接種を受けます。
当然のことながら、予防接種だけはお子さんの身体がアメリカにないと証明書が発行出来ませんので、こればかりは実際に渡米してからになります。
もし、近くに日本語対応の医療機関があれば、健康手帳や和文の予防接種記録を持参すれば、足りないものを注射して英文証明書を作成してくれます。
そうでなければ、英訳した予防接種の記録があると現地の病院でスムーズです。(日本の保健所などでは英訳してくれるサービスもあるようです)
多くの駐在員のご家庭では、先行して渡米したご主人が住まいを決め、家族は数ヶ月後に現地入り、というパターンが多いかと思います。
まずはご主人に(3)(4)の手配などを進めてもらいながら、お子さんが現地入りしたら出来るだけ早く、スムーズに追加の予防接種が受けられるよう、渡米前に医療機関を調べたり、予約を入れておくなど準備しておくと良いでしょう。
3.学年・英語の問題はどうする?
必要書類が準備出来たら、オフィスに訪問するアポイントを取ります。
いきなり書類を持って訪ねても夏の間は担当者が不在の日があったり、そもそもオフィス自体がクローズしていたり、予約なしでは受付けてくれない場合もありますので、必ず事前に確認しましょう。
もし、気になることがあれば、相談できるよう英単語をチェックしておいたり聞きたいことをメモにまとめておくのがオススメです。
例えば、学年を下げるかどうするか、英語について相談したい、などでしょうか。
夏生まれ(6月から8月末)の子供たちは、学年を一つ下げた方が良いのか、特に男の子を持つアメリカ人の親は、キンダーガーテン就学前に悩みどころです。
一つ下の学年に入ることでリーダーシップや自己肯定感、自信などを育むことが出来るのではないかと期待するからです。
日本人の場合は、お子さんが英語の授業についていけるか学業面での心配もあり、オフィスや学校から学年を一つ下げることについて聞かれると、それも良いかなと思われるかもしれません。
ただ、その場合は、現地在住のアメリカ人と違って、将来、日本の学校に戻る時にどうするのか、など新たな課題もありますので慎重に検討しましょう。
英語については、ディストリクトや地域によってESLなどの特別プログラムが異なりますので、具体的にどのようなサービスが受けられるのか確認しておくと安心です。
学年にもよりますが、親の心配を他所に、意外と子供は逞しく英語環境に順応してくれるものです。
ESLについてなど、ぜひこちらの関連コラムもご参照ください。
海外赴任で子供の英語が心配!現地校入学4人の英語克服法
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4.希望校に入れなかったらどうする?
無事に手続きが終わり、あとは入学通知を待つだけ・・・と安心していたら結果を見てびっくり、希望とは違う学校にアサインされてしまうことがあります。
特に、子供の数が学校の数以上に増えているエリアなどで度々起こり、日本から来たばかりの駐在員家庭では、アメリカの学校がこれほどまでに定員に厳格だということを知らず、慌ててしまうことがよくあるのです。
自宅近くに行かせたい学校があっても、満席の場合は、空きのある近隣の学校に回されてしまうのですが、筆者がこれまで住んでいたニューヨーク市や、サンフランシスコ郊外などでは決して珍しいことではありません。
初めて小学校に入学するTK*やキンダーガーテンなど新規生徒でクラス編成をする場合は特に顕著ですが、1年生以上の学年でも空きがないと希望校には入れない、ということが起こり得ます。(*Transitional Kindergartenの略で9〜12月生まれの5歳児に限り入学出来るカリフォルニア州特有の制度)
これは、“1人の生徒に付き公的資金がいくら与えられるか”という公立学校ならではの予算の問題が背景にあり、転入生1人くらい気軽に追加してあげましょう、という訳にはいかない事情とも絡んでいます。
そのため、正規の募集時期(2-3月)以降に手続きする転入生の場合、子供の数が多い地域では、第一希望校には入れない可能性が出てくるのですが、ここで必ずしもがっかりする必要はありません。
以下に2つの実例をご紹介しましょう。
ケース1:第一希望と違う学校にアサインされてしまった!
実際に起こった我が家のケースです。隣町から引越し、6月に娘のキンダーガーテン入学の手続きをして、蓋を開けてみたら希望とは全く違う学校にアサインされてしまいました。自宅からの徒歩の距離をコンピューターが自動で計算する仕組みで、一番近い希望校が満席のため、2番目に近い学校に回されてしまいました。
第一希望の学校に通わせたくて苦労して家を決めたのに・・・と一時は絶望的になりましたが、トランスファー願い(転校願い)を出してウェイトリストに載せてもらっていたところ、学校が始まる直前に無事に希望の学校から入学許可がおりました。
夏休み期間中はアメリカ国内でも引越しする家庭が多く、元々行く予定だった学校のオファーを断る生徒も出てくるため、そこで空席が出ると希望校に入れることがあるのです。逆に我が家は、以前住んでいた街で通う予定だった学校のオファーを断ったので新しく入れた人がいたかもしれません。
このように特に夏場は、生徒の出入りが頻繁ですので、希望校から漏れても、トランスファー願いを提出し、席が空くのを待ちましょう。
ケース2:兄弟で違う学校にアサインされてしまった!
兄弟3人、真ん中の子の学年だけ空きがなく、一人だけ違う学校にアサインされてしまった、というケースもあります。
少し離れた学校なら全員同じ学校に行けるということで、こちらのご家庭では親の送迎負担を考えると、少し遠くても3人揃って通える学校を選びました。
ただ、このような場合も、学校が始まって間もなく空席が出る、翌年は希望校に空きが出て通えるようになった、ということも多々あります。
こちらの3兄弟の家庭では、空きが出たタイミングで一度は転校を検討しますが、またゼロから新しい環境に慣れるのは親子共々大変なので、そのまま少し離れた学校に通い続けることにしたそうです。
親の負担はかかるけれど、兄弟違う学校に通わせる。または空きが出た時点で希望校に転校する、など、家庭によって、子供によっても様々なケースが想定されます。
現地校入学手続きのまとめ
子供にとって最良の選択をしてあげたいと願うのが親心、学校の諸手続きは自ずと緊張感が高まりますね。
慣れない電話やメール、対面での英語対応、オフィスや学校スタッフとのやりとりだけでも一苦労です。
渡米前から準備出来ることは着々と進め、現地に入ったらスムーズに手続きが行えるよう段取りしておくと安心でしょう。
また、子供の数が多い地域では賃貸契約を結ぶ前に、家の候補が決まったら希望の学校に直接問い合わせて空き状況を確認することも出来ます。
直接、学校とコンタクトして、セクレタリーや事務の担当者の反応から、そこがどんな学校か意外と印象がわかるのでおすすめです。
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