ノースカロライナ州はアメリカ東海岸のちょうど真ん中あたりに位置する州です。
東京と同じぐらいの温暖な気候で、晴れた日にはカロライナブルーと呼ばれる青空が一面に広がります。
日本ではあまり耳にすることのないノースカロライナ・ダーラムという街での生活について、2歳子連れで駐在をした我が家の体験をもとにご紹介します。
ノースカロライナ/ダーラムってこんな街
ダーラムは隣接するチャペルヒル・州都ローリーとあわせて“トライアングルエリア”と呼ばれています。
デューク大学(ダーラム)、ノースカロライナ大学(チャペルヒル)、ノースカロライナ州立大学(ローリー)という3つの大きな大学と、リサーチトライアングルと呼ばれる研究機関が集うエリアがあるため、日本をはじめ世界中からの家族連れ留学生・駐在員が多く住んでいます。
ダーラムの住まい
ダーラムに住む日本人留学生・駐在員の多くはアパートメントコンプレックスと呼ばれる集合住宅に住んでいます。
ほとんどのアパートには共用施設としてプールやジム、BBQ設備、カフェスペース、プレイグラウンド(子供向けの遊び場)、ドッグヤードなどがあります。
部屋には冷蔵庫や洗濯機など最低限の家電は備え付けられており、ベッドさえあれば入居当日から生活が始められます。
ダーラムは全体的には治安が良い街ですが、危ないエリアもあるので家選びは重要です。
隣町チャペルヒルに近い方が比較的安全と言われます。
また、チャペルヒルは公教育のレベルが高い街として有名なので、義務教育(5歳)以上のお子様がいるご家庭は住居をチャペルヒルにしてダーラムまで通勤通学するパターンが多いです。
ちなみに家賃もチャペルヒルの方が高額です。
移動のメインは車
ダーラムは車社会です。
公共交通機関としてバスもありますが、利便性と安全面から日本人で利用している人はあまりいません。
自家用車もしくはUberなどの配車サービスの使用が移動の基本です。
ダーラム周辺のお買い物情報
日用品のお買い物
日本人駐在員に人気のTrader Joe’sやWhole Foodsをはじめ、Costco、Target、Walmart、Harris Teeterなどスーパーマーケットの選択肢は豊富にあります。
中でも注目は、2021年にチャペルヒルにオープンしたWegmansでしょうか。
WegmansはNY発のお店で、近年ノースカロライナにも店舗をどんどん増やしています。
アメリカの顧客満足度No.1スーパーとも言われており、その魅力は何といっても広大な店内と豊富な品揃えです。
高級食材からオリジナルブランドのお手頃品まで幅広く手に入ります。
お惣菜コーナーが充実しているのも大きなポイントで、ちょっとしたデパ地下感があります。
アジア食品コーナーもあり、寿司はもちろんのこと、餃子などのおかずやアメリカでは珍しいお刺身も売っています。
アジア系スーパー
ダーラム市内にはLiMingという中国系スーパーがあります。
また、車で30分ほどのケリーという街に韓国系スーパーH Mart、日系食料品店の東洋食品があり、調味料や日本食材などほしいものはだいたいこの3つのお店で購入することができます。
東洋食品はトライアングルエリアの日本人に長年愛されている日本人経営のお店で、土日にお買い物をすると助六寿司と大福のサービス(とっても美味しい!)があります。
ショッピング
ダーラムにはThe Streets at South Pointという大型ショッピングモールがあります。
GapやBanana Republic、H&Mなどの日本人にも馴染みのあるお店や、Macy’s、Nordstromといった百貨店が入っています。
また、ダーラムから車で西に30分ほど行くとTanger Outlets Mebaneがあり、こちらでもショッピングを楽しむことができます。
ダーラムでの子育て
ダーラムはとても子育てしやすい環境です。
緑が多く、カロライナブルーの空のもと広々とした自然の中にたくさんのプレイグラウンドやトレイルがあります。
地元の人々も子供にとても温かく接してくれます。
家族の時間を大切にする文化があり、公園で子供と遊ぶお父さんが多いのはもちろんのこと、高校生ぐらいの若者も一緒に家族みんなでピクニックをしている光景をよく見かけます。
おススメスポットは、Museum of Life and Scienceという野外と室内が一体になった大きな科学館です。
ダーラムを代表するファミリーレジャー施設で、多くの日本人家族が年パスを購入して遊びに行っています。
もちろん野外では子供から目を離さないなど最低限の注意を払う必要はありますが、高級レストランにも子供連れで行けますし、生活全般において子供に寛大な文化を感じます。
学校について
ノースカロライナでは、5歳から義務教育が始まります。
5歳はKinderと呼ばれる小学校入学前の1年で、6歳からElementary Schoolに通います。
Kinderからスクールバスでの通学ができます。
先述の通り、教育水準はダーラムよりチャペルヒルの方が高いと言われているため、お子様の年齢が高い場合はあらかじめチャペルヒルに住む、もしくはKinder入学の年にチャペルヒルに引っ越すご家庭が多いです。
Kinderより小さい子供は、デイケアもしくはプリスクールに通っています。
デイケア・プリスクールともに私立なので、住所にかかわらず空きがあれば希望するところに通わせることができます。
スクールバスはないため、保護者の送迎が必要です。
デイケアは、日本でいう保育園にあたり、0歳から入園することができ、朝から夕方まで預かってもらえます。
日本の保育園と違い、保護者の就労状況等は問われません。
プリスクールは、学校にもよりますが1~2歳から始まります。
低年齢のうちは週2~3日の頻度で通い、3歳頃から週5日のクラスがあります。
基本の保育時間は9~12時で、夏期や年末年始などの長期休みもあります。
各デイケア・プリスクールは州から5段階で評価されており、日本人のご家庭は星4つ以上のところを選ばれることが多いです。
デイケア・プリスクール、小学校共に日系の学校はありませんが、ローリーに日本語補習学校があります。
対象は幼稚園年中から高校までで、毎週土曜日に授業が行われています。
ダーラムに駐在帯同して良かったこと3つ
フレンドリーな地元の人々
地元の人の温かさがダーラムの魅力のひとつです。
語学学校の先生が「君たちはノースカロライナに住んでラッキーだ、ここにはSouthern Hospitalityがあるからね」と言っていました。
NYなど北部の方では顔見知りではない人に声を掛けることはあまりないと聞きますが、ノースカロライナでは公園やお店で知らない人にもよく声を掛けられます。
道端で宅配のお兄さんが子供に「Hey boyカッコいい自転車だね!」と言ってくれたり、公園のブランコで隣り合ったお父さんが「日本人?ぼくは数年前に日本に行ったよ」と話しかけてくれたこともあります。
スーパーの店員さんがレジの最中に「これわたしも大好きなの、美味しいわよ!」と声を掛けてくることもしょっちゅうです。
また、教会が主催する無料ESL(英語クラス)では、英語のインストラクターとして参加するたくさんの地元ボランティアと出会うことができます。
留学生が多いという街の特徴もあり、外国人に対しても差別偏見なく受け入れてくれる人が多い印象です。
治安の良さと物価の安さ
もちろん日本と比べると気を引き締めて生活しなければいけませんが、ダーラムは総じて治安が良く、安心して生活できます。2年間住んで危険を感じたことは特にありません。
また、アメリカの大都市と比較して物価が安いのも生活する上で大変助かります。
特に子供のデイケアやプリスクールの費用は(日本と比べれば高額ですが)大都市と比較すると半額程度ではないかと思います。
適度な人数の日本人コミュニティ
渡米前は「ノースカロライナなんてマイナーなところ、日本人はほとんどいないのでは…」と心配していましたが、「意外と日本人もいました!」というのが渡米後の感想です。
日本人会や補習学校に加え、日本人研究者の会などビジネスの繋がりもあります。
とはいえ、他の大都市のように数多くの日本人駐在員が住んでいるわけではなく、圧倒的マイノリティであることには違いがないので、その分日本人同士助け合おうとする風土があります。
学校は現地校のみなので、現地の人々との交流も不可欠です。
なので「アメリカにいるけれど日本人としか交流していない」ということにはなりにくく、かつ心強い日本人コミュニティもあり、バランスの良いアメリカ生活が送れるのではないかと思います。
日本にいたらきっと出会うことのなかったであろう日本人の友人との繋がりは、本帰国後の大きな財産になると感じています。
ダーラムのデメリット
強いて言えば、車がないと不便な点がダーラムのデメリットです。
日本で車の運転に慣れていない方は最初は苦労されるかもしれませんが、ダーラムの道路は歩行者がほとんどいないので日本より運転しやすいと思います。
また、大都市のように有名な観光スポットがダーラムにはないので、日本から遊びに来た家族や友人をどこに連れていくか、というのがダーラム在住日本人共通の悩みではありました(苦笑)
子連れダーラム駐在妻の暮らし・子育て事情まとめ
ダーラムに住むことが決まったときは「それ、どこ?」というのが正直な感想で、渡米前に情報を集めるのにも苦労しました。
アメリカ滞在中にパンデミックに突入したこともあり、渡米前に思い描いていたアメリカ生活とは少し違ったものにはなりましたが、それでも私たち家族にとってノースカロライナ・ダーラムは楽しい思い出がたくさんあり、思い入れのある大切な場所になりました。
これからノースカロライナで生活する機会がある方々に、僭越ながら我が家の体験談が少しでもお役に立てば嬉しいです。