ウィーン帯同2回目、今回も既に5年目のありかママです。
6歳の女の子と2歳の男の子を子育てしながら、ウィーンで生活しています。
ウィーンといえば、オペラ座やシェーンブルン宮殿などの歴史的建造物が点在する市内に、ザッハトルテが有名な老舗のカフェが並ぶ、、そんな光景が浮かぶかもしれません。
“世界住みやすい都市ランキング”にて3年連続第1位に選ばれたウィーンでの駐在帯同生活、実際のところはどうなのか?
オーストリアに住んでいると話すと、まだまだ”オーストラリア”と混同されたり、音楽家だと思われたりするくらい、日本では”住むのに馴染みの薄い国”ですが、少しでも駐在生活のイメージができるようにご紹介できたらと思います。

オーストリア/ウィーン駐在員の状況(特に子連れ家庭の駐在の状況について)
駐在員の数は他国に比べて多くはありませんが、日本人コミュニティもあり、夏祭りやソフトボール大会などイベントも充実しています。
子供さんのリトミックやサッカー教室もあるので、他の日本人ファミリーと知り合いになるのに困ることはないでしょう。

ウィーンの子育て情報(子育てのしやすさ・子育て支援やサービス)
ウィーンでの出産
私は2回の出産をウィーンで経験しましたが、妊娠中に妊婦検診で訪れる婦人科クリニックとは別に、出産をしたい病院を決めて予め出産予約を取っておく必要があります。
そのために病院見学デーや説明会があるほどです。
希望の病院が決まったら必要データを登録しておくと、いざ陣痛が始まった時などに病院に電話を入れるだけで、状況に合った指示を出してくれます。
そしてケースによりますが、妊婦健診で診てくれている婦人科医師が病院に駆けつけて立ち会うことになります。
また、国民保険の範囲内で助産師さんが妊娠中も含めて5〜6回家を訪問し、沐浴や授乳の指導をしてくれます。
慣れない新生児育児の悩み相談にも乗ってくれ、異国の地で家族から遠く離れて出産を経験した私にとって、とても心強い存在でした。
子連れに優しい
ベビーカーで電車やバスに乗る時は、混んでいても場所を空けてくれ、大抵席を譲って下さいます。
また、階段を上がって乗車するタイプの旧型トラムの場合、ベビーカーを持ち上げる手助けを申し出て下さったり、私から”手伝って頂けますか?”ときくと、皆さん快く助けて下さったりします。
子供たちを見てはニッコリ笑ってくれ、可愛いと話しかけて下さる方が多く、子連れにはありがたい環境です。

ドイツ語
公用語はドイツ語ですが、若い人たち(子育て世代も含め)なら大抵英語も通じますし、クリニックなども英語で大丈夫なところが多いので、ドイツ語で医師にかかるのが心配な場合は、英語が通じるか予約時にきいておくとよいと思います。
普段スーパーやレストランなどではもちろんドイツ語を使いますが、オーストリアは移民国家なので、ドイツ語を上手に話せない方も少なくなく、実際ママ友とは英語で会話する機会も多いです。
スーパー
BILLAやSPARなどのチェーン店があり、さすがオーストリア、ハムやチーズの種類は豊富です。
オーガニック製品も他製品とそこまで変わらない値段で充実しています。
全粒粉のパンや、いわゆる”黒パン”と呼ばれるライ麦の粉で作ったパンなど、日本ではあまり食べる機会のないパンも沢山見られます。(お好きな方はぜひ地元のパン屋さんへ)
朝は7時頃から開いているところが多いですが、夜は20時までには閉まってしまいます。
『あ、買い忘れた!』と思っても間に合わないことも少なくなく、、
更に土曜日は18時には閉店、日曜日は終日お休みなので、食材のストックと照らし合わせて上手にお買い物することが必要になります。

ドラッグストア
dmやBIPAといったチェーン店が至る所にあります。
ボディーソープや洗剤、コスメやデオドラントはもちろん、赤ちゃん用品は揃っているので問題ありません。
離乳食の品揃えも多いですが、和食のような味付けはないので、持って行くことをオススメします。
こちらも営業時間はスーパーと同様なので、オムツやミルクなどストックの注意が必要です。
日本食材
“日本屋”という日本食材中心のスーパーをはじめ、韓国系の”NAKWON”、中国系やタイ系のスーパーもあり、必要な物に応じて使い分けています。
日本の調味料をはじめ、練り物や餃子の皮、もやしやさつまいも(地元のスーパーのさつまいもは私たちの知るさつまいもとは全く別物で人参に近いです)などの日本の食卓には欠かせない食材も見つけることができます。
最近では日本食ブームもあり、地元のスーパーでもうどんやパン粉なども売っていたります。
ただ、海外在住者は大半が苦労しているのではないかと思う豚の薄切りは、冷凍品がアジアンスーパーで売っていますが、スーパーにはブロックしか売っていないので、自宅で改めて薄切りにするか、行きつけの肉屋さんと仲良くなって特別にスライスしてもらうかなど工夫が必要です。

ほうれん草やえのきもあります。

蕎麦や海苔まで売っています。
交通機関
Ubahn(地下鉄)、Sbahn(市内普通電車)、Straßenbahn(トラム)、Bus(バス)が走っており、乗り継げば、市内の大抵のところには車なしでも行くことができます。
切符は共通で、Straßenbahnは車内で買うことができますが、その他は乗車前に買っておかなければいけないので注意が必要です。
と言うのも、ウィーンは改札口がなく、乗車中に抜き打ち検査が入るシステムになっていて、検査時に切符がないと高額な罰金を払うことになります。
心配になってしまったかもしれませんが、ウィーンには年間チケット(Jahreskarte)があり、1年間の上記乗り物乗り放題チケットが365ユーロで販売されているので、買っておくと毎回あたふたすることがなくオススメです。
子供も同様のチケットが低価格で販売されています。(5歳以下は無料)
レストラン
シュニッツェルなどのオーストリア料理やお馴染み中華料理、インド料理やトルコ料理だけでなく、日本ではなかなかお目にかからないような、ジョージア料理からクロアチア料理まで幅広いラインナップで飽きることがありません。日本食レストランにも困りませんし、外国人の方が経営する寿司レストランも人気でいつもごった返しています。
特に、ここ数年ラーメンの知名度が一気に上がり、ラーメンのレストランが急増しています。

奥にも和食レストランやタピオカミルクティーなどのお店が並ぶくらい、アジア料理の人気がすごいです。
オーストリア/ウィーン子連れ駐在員にお勧めの施設(病院・遊び場・公共サービス等)
公園
日本に比べて、公園の規模、遊具、数などを含め充実度が非常に高いです。
メンテナンスも定期的に行われていて、床にはウッドチップが散りばめられ、安全性もバッチリです。
我が家も大きめの公園の近くを意識して住まいを選びました。
おかげで幼稚園時代、帰りはほぼ毎日公園に通いました。行くと大抵、幼稚園のお友達やご近所さんがいるという、私にとってはソーシャルの場でもありました。
ジャングルジムや滑り台などはもちろん、夏は水遊びができ、雪が積もるとソリ遊びができる、そんな公園にはどれだけお世話になったことか分かりません。
ちなみに現地の方は皆さん、”my ソリ”を持っていたりします。

室内遊び場
よく幼稚園のお友達の誕生日会が室内遊び場で開かれていたので、頻繁に利用しました。
アスレチックやトランポリンが所狭しと並び、子供たちにとってはパラダイスです。
市内の至る所にあるので、寒い日や雨の日に子供を遊ばせる場として活用できます。
更に小さいお子さんならば、ままごとキッチンやプレイハウスなどが置いてあるカフェなどもあり、お茶をしながらでも安心して遊ばせることができます。

市庁舎(Rathaus)
市内中心部に位置する市庁舎は、四季に合わせて色々な顔を見せてくれます。
夏はフィルムフェスティバル、秋はサーカス、11月末にはクリスマスマーケットがオープンし、冬はスケートリンクが出現します。
観光客だけでなく、地元の人たちも集まりたくなる憩いの場で、子供たちも楽しめる場所のひとつです。
現に、娘の仲良しグループとそのママさんたちとクリスマスマーケットで温かいワイン(Glühwein)を飲むことが恒例行事になっていたり、幼稚園の遠足でスケートに連れて行ってもらったりしていました。

写真はシェーンブルン宮殿のクリスマスマーケットです。
雪山も車で1時間
ウィーンから車で1時間も走ればスキー場が沢山あります。
そのため、冬のある週末に急に思い立って、”今日スキーに行こうか?”などということも。
子供には、ベルトコンベアのようなリフトがあるので初めての子でも安心です。
ちょっと上達すると、日本ではなかなか見ることのない”Tバーリフト”も多いのですが、慣れるまで時間がかかるかもしれません。
スキー板も自分の物を持っている方が多いです。
近隣諸国にもアクセスしやすい
日本からアクセスしにくい東欧の国々へも車で気軽に行かれるので、まだお子さんが小さくて飛行機に乗るのが大変な時期は、ハンガリー、チェコ、スロベニア、クロアチアなどに足を伸ばすのも楽しいです。
また、世界一近い首都同士と言われるウィーンとスロバキアのブラティスラバは、車で1時間かからず行かれるので(電車や船でも行かれます)、特に日曜日はどこも閉まっているウィーンから脱出して、ブラティスラバでのお買い物を楽しむのもオススメです。
ウィーンならではの・・・
オペラ座が街の中心に位置するウィーン。
日々オペラの公演がありますが、まだ長時間集中して座っているのが難しい年齢の子たちのために、演者さんたちと一緒にオペラ座内の部屋から部屋へと移動しながら物語が進んでいく、といった子供向けオペラもあります。
実際に行ってみましたが、目の前でプロのオペラ歌手が歌う姿を見ることができ、子供にとってオペラという芸術に触れる良い経験になりました。
子供の病院について
病院は国民保険で賄われるので、基本的に無料です。
自由診療のクリニックは窓口で一旦支払いますが、プライベート保険に入っていれば、後で全額返ってくることがほとんどです。
こういった小児科も、早めにかかりつけを見つけることが重要です。
いざ発熱時に、『初めてですが、診て頂けますか?』と問い合わせても、新規の患者さんを取っていないクリニックが少なくないからです。
また、現地の母子手帳を取得して、既に日本で実施済みの予防接種など、照らし合わせておくとスムーズです。
特に、オーストリアでは暖かくなると活動的になるマダニ( Zecken )の予防接種は必須なので、お医者さんと相談して接種スケジュールを決めましょう。
オーストリア・ウィーンでの幼稚園・小学校選び
ウィーンの幼稚園
オーストリアには、日本のように幼稚園と保育園の明確な違いはありません。
市が運営する幼稚園の場合は14時、それ以外の幼稚園は保育時間がもう少し長く(個々によって違いはありますが)18時までのところもあり、それまでに各々お迎えに行く形になります。
気になる幼稚園があったら、見学の予約を取りましょう。
と言うのも、ウィーンは幼稚園激戦区でもあり、妊娠中から将来我が子の通う幼稚園のスポットを確保しておくことも珍しくなく、せっかく気に入った幼稚園が見つかっても、”次に空きが出るのは2年後です”などと言われることもあるからです。
我が家の幼稚園選び
ウィーンには日本語の幼稚園はありません。
我が家の場合、今後も他の国への駐在が考えられるので、当初は英語の幼稚園を探していましたが、近くになかなか見つからず、更に当時はコロナ禍だったこともあり、幼稚園の見学や受け入れも制限され、なかなか苦労しました。
縁あって入ったのは、ドイツ語寄りのバイリンガル幼稚園で、英語担当の先生が常勤します。
いきなりドイツ語環境にポンと入れるのは心配でしたが、幸い娘には生まれた時から日本語と英語で話してきたので、少なくとも”聞いたことのある言語を理解する先生がいる”、というのは娘にとっても私たちにとっても安心材料だったと思います。
幼稚園によって、しっかり座ってお勉強ができることを大切にするところ、外遊びで泥まみれになっても自由を大切にするところ、など方針も様々なので、自分たちが幼稚園に何を求めるか考えて判断しましょう。
ウィーンでの小学校選び
ウィーンには日本人学校があります。
小学部と中学部があり、約30名の生徒さんが在籍しています。
少人数なので、先生方も親切で手厚いと評判です。
市内中心地から少し離れておりますが、大きなショッピングモールも近くにあり、日本人学校に通うお子さんを持つ駐在員ご家族も好んで住まわれています。
また、インターナショナルスクールや英語の小学校ですと国連の近くや大使公邸が集まるエリアに多いので、住居を選ぶ時のポイントにしてください。
我が家は前述の通り、駐在のスライドの可能性を考え、インターナショナルスクール、もしくは英語の小学校を考えていました。
しかし、ドイツ語中心のバイリンガル幼稚園に通って早3年。おしゃべり好きの娘が友達と話すのに1番心地よい言語はドイツ語になったことで、現地の小学校に入れることにしました。
現地校の場合も、日本のように学区が決まっているわけではないので、自分たちで学校を選ぶ必要があり、そのためにオープンキャンパスや説明会などがあります。
その後、市に希望の小学校の申し込みをして、学校と面談をして結果を待ちます。
ウィーンでの日本語補習校
日本人学校では体験入学は1日単位で受け入れているようですが、日本語の補習校としては実施していません。
しかし、ウィーン市の認可を受けた公益法人が運営している補習校があります。
幼稚部・小学部とあり、日本語だけでなく暦に合わせた日本のイベントなども経験できます。
ウィーン駐在家族の子育て/学校体験談まとめ
日本に比べて、寒い季節が長いオーストリアですが、暖かくなると芝生に寝転がり、夏場はドナウ川で海水浴を楽しむ人々、冬の訪れは街中にキラキラ散りばめられたクリスマスマーケットが教えてくれます。
少し山の方へ行くとワイン畑が広がり、オペラやクラシックコンサートなど、芸術を身近に感じられるウィーンでの子育てはしやすいと感じています。
日本での生活と比べると、もちろん不便な点はありますが、治安も良く医療水準も高いので、初めての駐在帯同でも安心してお子さんと暮らせると思います。
様々な国籍のお友達に囲まれて、外国人や外国語に抵抗なく育つということは、それだけで何にも変え難い価値があるように感じます。
海外に慣れている方、英語に苦手意識がある方、バックグラウンドは様々だと思いますが、それぞれに合ったウィーンでの駐在生活を見つかり、ご家族にとって忘れられない時間になることを願っています。
