我が家は2017年より、小学生、中学生の子連れで北京に駐在しています。ここでは、どのように子供たちが北京で通学する学校を決めたのか、また実際通った体験談をお伝えしていきます。
北京の日本人学校について
北京市内にある日本人学校は、北京市朝陽区にある「北京日本人学校」の1校のみです。正式名称は「在中華人民共和国日本国大使館付属北京日本人学校」。
文科省から認定を受けた全日制の学校で、海外にして40年以上の歴史があります。小学部と中学部が同じ校舎に併設されており、日本と全く同じ義務教育を受けることができます。幼稚園部はありません。
北京駐在で日本人学校を選んだ基準
北京駐在員のお子さんは、日本人学校又はインターナショナルスクール、又は北京市立や中国国立の国際部、このどれかを選択して通学することになります。
夫の会社には、「全日制日本人学校がある場合、そこへ通学する」という旨の帯同家族規約があったため、日本人学校に通う以外の選択肢はありませんでした。
インターナショナルスクールも興味がありましたが、北京市内に10校以上あるインターナショナルスクールの中から、短期間で選ぶことが出来ませんでした。また、北京のインターナショナルスクールの学費は世界一と言われるほど高額のため(年間約400〜500万円/1人) 、日本人学校を選びました。
しかし、会社規定とはいえ、やはり
「全日制とはいえ、海外でちゃんとした教育が受けれるのか」
「日本と全く同じなんだろうか?」
と不安も多くありました。
そのため、家族帯同を決める前に知人を介して、日本人学校に通っている方からお話をきいたりして情報を集めました。
そして「北京日本人学校は、通っているお子さんも、先生方もみんな優しく良い方ですよ。先生方は子供ひとりひとりをよく見てくれるから、安心して北京に来てください」という、在校生保護者の方のアドバイスをもらいました。
この言葉を信じて、我が家は日本人学校への編入と、北京駐在帯同を同時に決めました。
北京日本人学校のメリットとデメリット
北京市で日本語教育が受けれるのは北京日本人学校1校しかありません。選択肢がないからこそ、「ここでいいのかな?」とお思いの方の為に、メリットデメリットをそれぞれお伝えしていきます。
メリット1 :少人数制の丁寧な指導が受けれる
北京日本人学校は、小学部と中学部の9学年が同じ校舎です。
学年が上がるにつれ、児童生徒の減少傾向がありますが、ほとんどの学年は2クラスずつあります。クラスの人数が多すぎず、少なすぎないので、先生方は丁寧に一人一人と向き合ってくれます。
日本人学校に勤務する先生方は、「海外で教育指導をしたい」と志願し、厳しい試験をパスした熱意ある先生方ばかりです。日本を離れ寂しい気持ちや、新しい環境に慣れようとするこどもの頑張る気持ちを、親身になって応援してくれます。
メリット2: 国際的感覚が身につく
日本人学校ときくと、日本人しか通っていないと思いがちですが、中国で生まれ育ったお子さんや、ハーフのお子さんなどが約半数います。家庭では日本語以外の言語を使っている子もいるなど、お子さんそれぞれの個性や背景を受け入れる力を、自然と学ぶことが出来ます。
また、他の国際学校との交流や、中国語の授業などもあるので、国際的感覚が、学校に通うだけで身につきます。
メリット3:北京ならではの体験授業や行事が豊富
北京日本人学校の遠足は、頤和園や天壇公園などの世界遺産へ行きます。また毎年学校で、中国伝統文化体験を行ってくれます。中国楽器の演奏会や、雑技団の公演などを目の前で観覧できるのです。
通常授業では、週1回の習熟度別の中国語の授業があります。こちらも少人数制のため、コツコツ勉強し続けたお子さんのほうが、中国語が上達していた!ということも?!
どれも、日本では決してできないことばかりですので、日本人学校に通うメリットはとても大きいと思います。
デメリット1: 給食がない
北京日本人学校には給食がありません。毎日お弁当と水筒を持っていきます。ですので、駐在期間中、決して逃れられないお弁当作り。お子さんにとってのお弁当はうれしく楽しみであっても、毎日作ることは、保護者にとってデメリットと感じるかもしれません。
でも、パン屋さんのパンを持たせたり、時にはコンビニのおにぎりでも、誰にも咎められたりしません。お弁当作りを身構えなくても、大丈夫です。
デメリット2:子供だけで歩いて登校できない
北京日本人学校には「登下校は保護者の責任」というルールがあります。マンションから登下校のバスを利用するご家庭が多いですが、徒歩通学をしたいから学校付近のマンションに住んだとしても、子供だけで登校することは出来ません。
中学生になっても、必ず保護者の付添が必要です。これは、中国の文化的背景もあるので、必ず守らなけばならないルールです。酷暑でも極寒でも、保護者の送迎が必要なことは、保護者にとってデメリットと感じるかもしれません。
しかし、海外で生活するにあたり、子供だけで路上を歩かせないことは、当然ともいえることでしょう。
デメリット3:別れが多い
北京日本人学校に入学し、卒業まで在籍するお子さんは、ごくわずかです。ほとんどの子が転入と転校を経験しています。
そのおかげで、別れの辛さも、出会いの緊張も理解できる、優しいお子さんばかりなのですが、せっかく仲良くなっても、すぐに転勤や帰国でお別れをしなくてはなりません。
大切なお友達との別れは、出来れば経験したくないことですよね。思いやる優しい気持ちが育ちますが、別れや旅立ちが多いことは、子供にとってデメリットと感じると思います。
実際に我が家が入学した北京日本人学校の体験談
私の子供たちは、北京日本人学校の小学部と中学部に通いました。
北京日本人学校に在籍して本当によかったと思っていますが、その中でも日本では体験できない、北京日本人ならではの特徴を3つお伝えします。
体験談1:魅力的なお子さんや先生との出会い
北京日本人学校に通ったことで、ハーフの子や、他の国での駐在を経験してきた子、日本全国各地から集まってきたお子さんたちと友達になれました。その子やそのご家族の背景を受け入れ、それぞれの個性を尊重することが出来るようになったのは、日本人学校の先生方のご指導のおかげだと思っています。
中国語や英会話のクラスが、習熟度別になっていることで、「あの子は家で中国語なのに、日本人学校では日本語で過ごしていて、すごいな」と、そのお子さんの努力を素直に称えています。
日本にいたら、このように感じることは出来なかったと思います。自分も日本を出て、北京に来たからこそ感じた気持ちです。
仲良くなってもすぐ訪れる別れは辛いですが、これも北京日本人学校の特徴。転校した先でも頑張ってね、と案じたり応援する気持ちも育っていると思います。
体験談2:国際交流が頻繁にある
学校行事として、毎年他の国際学校との交流会があります。
韓国人学校やフランス人学校との交流や、中国現地校とのスポーツ大会などは、日本では決して経験出来ないことです。韓国人学校との交流では、お互い中国語での会話も難しい時は英語でコミュニケーションを取ろうと試みたりと、本当の意味での国際交流を経験させてもらえました。これも、北京日本人学校に通ったおかげで体験できたことです。
体験談3:サークル活動が楽しい
日本では、当たり前にある部活動ですが、北京日本人学校には部活はありません。替わりに、主に保護者で運営する各種サークル活動があります。
保護者での運営は大変な様にも思いますが、海外生活をする駐在員にとって、他の学年の保護者やご家族と知り合えることは、とても貴重でありがたい情報収集の場です。
子供たちも、小学部中学部の学年の垣根を越えて、知り合い活動でき、とても楽しく活き活きしています。日本の様な、厳しい上下関係をサークル活動に求めることは難しいかもしれません。しかし、上級生が下級生をまとめ、好きなことを楽しく続けられる環境は、サークルならではです。
娯楽が限られた駐在生活の中では、親も子もサークル活動の日を心待ちにしています。また、サークルで中国での大会に出場したり、交流試合などができることも、北京日本人学校在籍ならではの体験です。
北京日本人学校情報と入学体験レポートのまとめ
お子さんがいるご家庭にとって、学校選びは難しく感じられると思います。選択肢が多いほど、悩みも増えていくことでしょう。
北京には、日本人学校は1校しかない為、「ここでいいのかな?」と率直に思われることもあるかもしれません。
でも、どうか安心してください。
北京日本人学校は、国際色豊かなお子さんたちと、熱意ある先生方が集まる、魅力ある学校です。
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